今や憧れの職業となったYouTubeやX(旧Twitter)、Instagram、TikTok、ブログなどで人気がある「インフルエンサー(影響力のある人)」。社会に影響を与えるような大きな発言力と、多額の収入が得られるとして、世間の注目の的となっている。
インフルエンサーの力をマーケティングに利用したインフルエンサーマーケティングは企業のPR方法の一つとしても主流になりつつあり、企業発信の情報と異なり消費者目線での情報が欲しい消費者のニーズにも応えている。しかし、インフルエンサーは実際どうやって稼ぐのか、なかなかその実態を知らない人も多いのではないだろうか?
そこでこの記事では、インフルエンサーマーケティングの特徴や仕組み、本当に稼げるのかを解説していく。また、インフルエンサーになりたい人や、ネットでの副業を考えている人に気を付けて欲しい悪質な詐欺の事例も紹介する。
インフルエンサー詐欺被害
SNSには、甘い詐欺話を言葉巧みに宣伝する広告も多い。インフルエンサーを目指す人に特に注意して欲しいインフルエンサーマーケティングを騙った詐欺である。SNSをよく見る人や、そこでの副業を考えている人などは、悪質な詐欺に注意するだけではなく、「被害者が加害者へ」代わるケースも多くあるため、十分に気を付けなければならない。
副業紹介詐欺
InstagramなどSNSでの副業紹介でインフルエンサーになれると謳い、DMで接触してくるケースが多い。
初めは「一切お金払わなくて良い」と言っておきながら、後から取り消せるからと有料会員の登録料と称し5万円を払わせる。
更に「投稿の技術や自分のアピールの仕方のテクニックを教え、Instagramのインフルエンサーになれるよう1ヶ月で育てる、2ヶ月目から稼げるから、あとは儲けるだけ。」と最終的に高額セミナーへ勧誘するという手法だ。プラン制になっているものもあり、50万円プランを購入させられたという事例もある。
これは特定商取引法に規定されている業務提供誘引販売取引(勧誘方法によっては、電話勧誘販売、訪問販売という可能性もある)という契約に該当する可能性がある。
負担金を支払えば、内職程度の仕事を紹介されるというもので、これ自体は違法ではない。ただ仮に違法でなくても初心者がインフルエンサーマーケティングで50万円を数か月で取り返すのは難しい。
(引用元:特定商取引法ガイド-消費者庁)
業務提供誘引販売取引に該当する場合でも、概要書面の交付、契約書面の交付、20日間のクーリング・オフ(電話勧誘販売、訪問販売については当日起算で8日間)などの口頭説明が無ければ、これは完全な違法勧誘となる。
PR案件詐欺
InstagramなどのDMで商品やサービスのPR依頼をされるケース。SNSでPRすればキャッシュバックを受けられ、自己負担なくそれらを利用できるというものだ。商品やサービスの契約しPRしてもキャッシュバックが振り込まれる事はなく、その上後から商品やサービスの代金を請求されるのだ。
マルチ商法詐欺
詐欺業者は借金を追った被害者に対し、「この手法を営業し、顧客獲得する事によって報酬を渡す」等と、中身がない副業を紹介する事により報酬が得られる等と謳い、マルチ商法(連鎖販売取引)を仕掛けさせるケースも多々ある。ある意味インフルエンス(影響力)ではあるが、憧れの存在であるインフルエンサーとは真逆のものである。
クレ・サラ強要商法
高額な契約を「お金が無い」と言って断る消費者に対して、事業者がサラ金等の貸金業者から借金させたり、クレジット契約を組ませる行為をクレ・サラ強要商法と言う。これも悪質な行為で年々増加している。
インフルエンサーマーケティングとは?
私たちが主にインフルエンサーと呼ぶのは、FacebookやInstagram、X(旧Twitter)などのSNSやブログ、YouTubeなど、インターネットの消費者発信型メディアで情報発信するツールで、多くのフォロワーに情報を届けている存在のことである。
よく、インフルエンサー、インスタグラマー、ユーチューバーなどの違いがわからないと疑問を持つ人がいる。インスタグラマーはInstagram上で影響力のある情報を発信する人、ユーチューバーの場合はYouTubeで、というように、どちらもインフルエンサーの内に括られている。
インフルエンサーの持つ、広い情報拡散力と、多大な影響力をマーケティングとして利用したのが「インフルエンサーマーケティング」だ。インフルエンサーに、製品やサービスをPRしてもらい、口コミなどを通して消費者の購買行動に繋げてもらう、コミュニケーション型のマーケティング手法になる。
インフルエンサー側にしてみれば、自分の活動によって収入を得ることもできるということで、新たな職業として認知されています。また、正しい方法でインフルエンサー活動が出来れば、一般的な会社員よりも多くの収入を得られるなど、大きなビジネスチャンスにも繋がるだろう。
インフルエンサーの稼ぎ方
企業はどうやってインフルエンサーを選ぶのかを心得る事も大切だ。企業は狙ったターゲット(消費者)に企業の商品やサービスを宣伝できるようなインフルエンサーを選ぶ。ただフォロワー数の多いインフルエンサーを起用すれば良いわけではない。そこには、スパムアカウントやボットによりフォロワー数を増やしている「フォロワー詐欺」や、SNSの投稿にリアクションをしたユーザーの割合を不正に増やした「エンゲージメント率詐欺」をしている人も含まれている可能性があるからだ。
インフルエンサーの収入源は主に3つで、広告収入、企業案件、グッズや書籍などがある。
広告収入
広告収入とは、インフルエンサーが制作したコンテンツに対して企業の広告を付けて収入を得ること。インフルエンサーの広告単価は、フォロワー数と比例することが多く、例えばYouTubeの広告収入は、1再生0.1~0.5円程度である。ただし、広告単価は人それぞれで、投稿内容によっても違いが出る。
企業案件
企業案件とは、企業からの依頼で商品やサービスを宣伝する手法のこと。企業案件は、広告収入よりも1本あたりの単価が高いと言われている。ただし、企業案件ばかりの投稿だとフォロワー離れが懸念される。企業案件は、企業から絶対に入れて欲しい内容を指示されることもあり、インフルエンサー本人の投稿内容とズレが生じ、インフルエンサー自身のイメージダウンになることも考えられる。企業案件を受ける際には、まずは自身のイメージやブランディングに合っているか吟味してみよう。
グッズや書籍の販売
グッズや書籍の販売は、自分自身で価格を決められるのが他とは大きく違ったポイントである。1つあたりの単価は自分次第で、販売価格によっては大きな収入源になる。価格設定は、自身のフォロワー数と商品の内容を考えた上で決めて販売しよう。近年ではアパレルをプロデュースするインフルエンサーも増えている。アパレルは、高い需要があり、受注生産なら在庫リスクを抱える可能性も低いのがメリットである。
インフルエンサーマーケティングではどのくらい稼げるのか
インフルエンサーマーケティングの依頼にかかる費用・料金相場は、1回のSNS投稿で「フォロワー数×2~4円」と言われることが多い。例として、フォロワー数が5万人のインフルエンサーに依頼する場合は10万円~20万円が費用の相場である。そのため、マーケティング予算の厳しい企業であっても、広告を出すよりも安く済むことがあり、導入しやすい。インフルエンサーの中には、1投稿で5,000万円の収益を上げる人も存在するように、企業側にとっても、ビジネスをワンランク先に進める可能性を秘めているマーケティング手法と言っても良い。
ただし、企業からの依頼を受けられるインフルエンサーになるのは、簡単な話ではない。フォロワーの少ない個人がインフルエンサーマーケティングで稼ぐことは困難を極める。正直のところ、よっぽどのフォロワー数がSNSにある人以外は、始めて数か月で稼げるほど甘い世界ではない。
例えば、インフルエンサー詐欺で25万円などのプランを契約した場合、その金額を数か月で取り返すとなると、インスタグラムの広告費は「1フォロワーあたり2円~4円」が相場になるので、フォロワーは少なくとも5万人~10万人ほどはいないといけないことになる。ただ、案件の報酬はフォロワー単価だけで決まるとは限らないので一概には言えないが、1か月だけテクニックを教わり翌月から儲かる話ではない。そもそも詐欺業者がそこまでサポートするだろうか。
インフルエンサーのヒエラルキー
インフルエンサーには階層がある。
- TV露出のある芸能人やモデルなどが大半の「トップインフルエンサー」(100万人以上)
- ネットで名声を得ている「ミドルインフルエンサー」(10万人~100万人)
- 特定の分野で知られる一般人が多い「マイクロインフルエンサー」(1万人~10万人)
- ニッチな企業との契約が多い「ナノインフルエンサー」(1,000以上)
- それ以下はライトインフルエンサー
インフルエンサーをテーマとしたスマホ副業詐欺はこちら
今回は【合同会社CARRENCHY】が販売する【ライバープロデューサーアカデミー】についての情報を入手したため検証させてもらった。 結論 稼げない可能性大 ここから詳しく見ていくので、特に今後購入の検討をしている、または購入したという[…]
まとめ
SNSやインターネットなどのメディアで、世間に大きな影響を与えているインフルエンサー。そんなインフルエンサーの宣伝力・拡散力をビジネスに活かしたのが、インフルエンサーマーケティングだ。
インフルエンサーは、今ではZ世代を中心に職業としても広く認知され、需要も高い。企業が費用を安く導入できるマーケティングである。企業は宣伝したい商品・サービスと宣伝に関わってもらうインフルエンサーや媒体との相性をしっかり見極め、不正にフォロワーを増やしているフォロワー詐欺や、SNSの投稿にリアクションをしたユーザーの割合を不正に増やしたエンゲージメント率詐欺をしていないか厳しくチェックしている。
インフルエンサーを始めたいと思っているユーザーも、簡単に稼げると嘘の儲け話を持ちかけられる詐欺がある。インフルエンサーになることも、稼ぐことも簡単な話ではなく、詐欺の場合、大きな損失を受けるだけではなく、被害者から加害者に代わるケースもある。SNSでの儲け話には十分に気を付けよう。
厳しい事例も多く書いたが、インフルエンサーマーケティングが完全に無理な話であると言っているわけ訳ではない。本気で稼げるインフルエンサーになりたいならば、詐欺に気を付けながら、違法にフォロワー数やエンゲージメント率を増やすことなく、一歩ずつ着実に正しい方法で夢に向かって努力を続けていこう。一人でも多くのユーザーが、卑劣な詐欺に引っ掛かることなく、インフルエンサーマーケティングの夢を実現してほしい。
合掌”B”李 拝