国際ロマンス詐欺の二次被害とも言える問題を以前も取り上げてきた。
度々、X(旧Twitter)でも国際ロマンス詐欺について触れてきた。 今回、千葉県弁護士会所属の大友道明弁護士(75歳)に懲戒手続きが取られた。ただいま弁護士界隈を騒がせているこの件を解説する。 [afTag i[…]
国際ロマンス詐欺の被害者は、弁護士を最後の砦と考えて着手金を支払い問題解決を依頼する。しかし、国際ロマンス詐欺の被害回復は非常に困難だ。国際ロマンス詐欺の二次被害とは、被害回復実績がほとんどない国際ロマンス詐欺案件に対して「回復可能である」かのように誤認させて着手金を得ることをいう。
2023年12月5日、そのような国際ロマンス詐欺の二次被害案件で、全国初となる弁護士の摘発者が出た。逮捕された弁護士は、「RMC法律事務所」の代表弁護士・竹原孝雄容疑者(82)だ。
今回は、竹原容疑者の逮捕理由とともに、国際ロマンス詐欺の二次被害について解説する。
竹原孝雄について
竹原容疑者は、1971年に弁護士登録をし、50年以上に渡って弁護士として活動をしている。
”難しくてよくわからないし、できれば関わりたくない。法律というと、そんな風に思われる方も少なくないようです。しかし、ある問題を抱え、どうしても法律の力を使って解決しなければならない局面を迎えてしまうことも、長い人生、ないとは言えません。そんなときは、ぜひお気軽に私たちRMC法律事務所にご相談ください。
(引用元:RMC法律事務所)
自身の事務所HPでは、法律が難しくてよくわからない人に対して問題解決したいと語っているが、実際は弁護士という自身の肩書を使って国際ロマンス詐欺被害者たちを二次被害に陥れてしまうという皮肉な結果になった。
竹原容疑者は、過去に何度も弁護士会から懲戒処分をくらっている。処分理由は「住民票不正取得」「職務上請求書の不正使用」「非弁提携」と様々だが、その都度6~10か月程度の業務停止をされていた。元から、あまり褒められた弁護士ではなかったという訳だ。
(引用元:弁護士不祥事情報ブログ 弁護士自治を考える会)
RMC法律事務所について
概要
ネット検索するとすぐに事務所のHPが見つかる。2023年12月5日現在、今回の逮捕に関しては一切触れていない。
所在地
〒102-0083 千代田区麹町三丁目4番3号 シエルブルー麹町 301号
竹原孝雄は何をやらかした?
他に逮捕されたのは、同事務所元従業員、山根靖広(55)(千葉県四街道市)と会社役員、谷合一紀(53)(東京都府中市)、会社役員、村松純一(41)(さいたま市南区)の3容疑者。
捜査関係者によると、竹原、山根、谷合の3容疑者は共謀し、竹原容疑者の弁護士名義を村松容疑者に利用させ、村松容疑者は2021年11月~22年9月、弁護士資格がないのに、ロマンス詐欺の被害者5人に被害金返還請求に関する助言や指導などを行った疑い。村松容疑者は5人から着手金計約320万円を受け取ったのに、被害金はほぼ回収していなかったという。府警は、竹原容疑者が名義貸しの対価を得ていたとみて調べる。
(引用元:読売新聞オンライン)
(非弁護士との提携の禁止)
第27条 弁護士は、第72条乃至第74条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。(弁護士法)
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第72条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
(譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止)
第73条 何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の実行をすることを業とすることができない。
(非弁護士の虚偽標示等の禁止)
第74条 弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示又は記載をしてはならない。
2 弁護士又は弁護士法人でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。
3 弁護士法人でない者は、その名称中に弁護士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。(弁護士法)
竹原、山根、谷合の3容疑者が、竹原容疑者の弁護士資格を村松容疑者に利用させ、ロマンス詐欺の容疑者に対して被害回復を騙り着手金を支払わせた疑いで逮捕されている。

村松容疑者は、2022年、マネーロンダリングの容疑でも逮捕された不動産会社「WYZZ(ワイズ)」の元従業員と見て間違いないだろう。同社は、マネーロンダリングした資金を嘘のFX投資詐欺を行ったグループに渡している。
(引用元:朝日新聞デジタル)
国際ロマンス詐欺の二次被害とは?
府警は10~11月、同事務所のインターネット広告で被害金の回収実績があるように偽り、21年に男女3人から着手金計約630万円を詐取したとして、山根、谷合、村松の3容疑者を詐欺容疑で逮捕していた。
(引用元:読売新聞オンライン)
竹原容疑者の弁護士事務所「RMC法律事務所」では、インターネット広告で国際ロマンス詐欺の被害回復実績があるかのように偽っていた。
インターネットで調べ、国際ロマンス詐欺の手口だと知った。ネット広告で「ロマンス詐欺に強い」とうたう東京の弁護士事務所にLINEで相談すると、夜中にオペレーターから電話が来た。「急がないと間に合いませんよ」。せかされて、着手金や調査費、合わせて約70万円を送金した。
(引用元:読売新聞オンライン)
国際ロマンス詐欺二次被害に遭った被害者は、ネット広告で「ロマンス詐欺に強い」という文言を見て依頼を決めたそうだ。だが実際、ロマンス詐欺で騙し取られた被害金はほとんど回復されなかった。
また、契約時にオペレーターから契約を急かされたという。実際、詐欺被害は早めに依頼をした方が被害金が回復する率は高まるので、一概に間違いだとは言えない。しかし、国際ロマンス詐欺は、そもそも返金が非常に難しい案件である。それを知った上で、高額の着手金を支払わせるために契約を急かしていたのであれば、役に立たない商材を考える時間を与えずに購入させる詐欺師の手口となんら変わりはない。
このような誤認を避けるために、東京弁護士会は、弁護士事務所によるロマンス詐欺の誇大広告について注意喚起を流している。
弁護士の業務広告に関する規程
第3条 弁護士は、次の広告をすることができない。
1 事実に合致していない広告
2 誤導又は誤認のおそれのある広告
3 誇大又は過度な期待を抱かせる広告
4 (以下略)
(引用元:東京弁護士会)
弁護士広告だけに言えることではないが、過度な期待をもたせる広告は疑って見たほうがいい。しかし、弁護士広告に関しては、一般人が馴染みの少ない「法律」や弁護士以外知り得ない「被害回復実績」を使っているため、何が正しいのか判断が難しいだろう。
まとめ
なお、当本部広告調査部会による調査の過程で、国際ロマンス詐欺の被害回復は現実には難しく、多くの場合、被害を全く回収できないか、ごく少額の回収にとどまることが多いのに、弁護士に依頼すれば高額の回収が確実であると誤信させるような弁護士業務広告をしていたケースも散見されました。
このようなケースでは、依頼者から、事件処理の報告がない、事件処理の進捗や今後の見通しについて弁護士に説明を求めたのに対応がない、高額回収ができるとの説明をうけていたのに着手金倒れになった、といった苦情が市民窓口に寄せられ、調査の端緒となっています。
(引用元:東京弁護士会)
国際ロマンス詐欺に関して、東京弁護士会本部広告調査部の調査でも、被害回復が難しいという見解を示している。
まっとうな弁護士でさえも被害回復が難しい案件にもかかわらず、「ロマンス詐欺被害回復実績あり」「ロマンス詐欺に強い弁護士」「確実に返金できる」などと言った誇大広告を出している事務所は、竹原容疑者のように犯罪行為に手を染めていないにしろ、信用に値しないだろう。
国際ロマンス詐欺に関して、「返金されないのか」と落ち込んでいる人には是非こちらの記事を読んで貰いたい。どこの事務所に相談すべきか迷ったら、詐欺暴露チャンネルがお勧めする専門家へ相談をしてくれ。私が信用している専門家が親身に対応してくれる。
「被害者の力になりたい」と思っている事務所は「被害者の為に何かできる事はあるか」を常に考えてくれる。1人でも多くの人が詐欺被害を回復できるよう切に願う。
合掌 “B”李 拝